文は拙を以って進み、道は拙を以ってなる。一の拙の字に無限の意味有。桃源に犬吠え、桑間に鶏鳴くが如きは、何等の淳龐ぞ。寒潭の月、古木の鴉に至っては、工巧の中に、すなわち衰颯の気象あるを覚ゆ。
(訳) 文学の修業、も道徳の修養も、「拙」、すなわち技巧を捨てることによって、進歩若し成就もする。「拙」の一字には無限の意味が含まれているのだ。 たとえば、「桃源に犬吠え、桑間に鶏鳴く」という表現であるが、なんと素朴の味わいに富んでいることか。 それに比べると、「寒潭の月、古木の鴉」といった表現は、あまりに技巧が勝ちすぎて、生き生きとした感じを失っているように思われる。
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